私が一番衝撃を受け、何度も映画館に足を運んだ唯一の作品がこちらです。
【 プライベート・ライアン】(1998/アメリカ/160分)
「その映像は非情なまでに美しく、過酷なまでに真実」
ニューヨークポストがこう綴った、ノルマンディ上陸作戦、オマハビーチでの激戦。
耳のそばをかすめる銃弾の音、兵士の息づかい、飛び散る血しぶきやビーチの砂・・。
リアルさに徹底的に拘ったスピルバーグの情熱が、この作品のオープニングシーンに集結されています。
スピルバーグ自ら“大虐殺”と呼ぶ凄惨な上陸シーンは、ノルマンディに似た地形のアイルランド南東部海岸に再現されました。
2,000丁の武器が集められ、それを扱う1,000人のエキストラがアイルランド軍から徴用されるというスケールです。
「第二次世界大戦は以前から関心があったテーマ」とはジョン・ミラー大尉を演じたトム・ハンクスの言葉。
「戦争そのものではなく、人間の体験として描いたような素材はないか、と。この脚本にはそれが鮮やかに書き込まれていた。ある意味で壮大なアドベンチャー・ストーリーであり、一方ではとても人間的なドラマなんだ」
そのオマハビーチの戦火を潜り抜けたジョン・ミラー大尉。
息つく暇もなく次に彼に下った新たな任務は、ライアン2等兵を救出すること。
中隊から7人の兵士を選び出し、生死も分からない新兵の救出に乗り出しますが、その道中、兵士達の中にひとつの当然ともいえる疑問が浮かび上がります。
「新兵1人の救出に、8人の命を賭ける価値はあるのか?」
前線に送り込んでおきながら、兄弟の死を知るや帰還を命じる軍部。
そのために他の多くの人命が危険にさらされる事実は無視されるという矛盾と皮肉。
それぞれが抱く、命を賭けて戦う事への思いと、命令への懐疑心を細かに描写しています。
出演者一人ひとりの個性と演技も光り、一度観ると忘れることのできない映像が散りばめられた、珠玉の名作です。
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