感動の映画、とひとくちに言っても、感動する部分は人それぞれです。
また、同じ作品でも、観た時期によって感想が全く別のものになってきたりもします。
私は泣ける作品イコール感動作品、とは思いません。
別に涙は流れなくともじわりと心に染み入るような、そんな作品でも、それは個々の感動作品になると思います。
人によっては、「絶対泣くから」と言われてしまうと構えてしまって泣けないよ〜という方もいるかも。(私もそのひとり)
だから、「いい作品だから観てね」というかんじでおすすめしたいと
思います。
【 海を飛ぶ夢】(2005/スペイン/125分)
実は、キアヌ・リーブスの「コンスタンティン」を観ようと映画館に足を運んだ私と母。映画館に着くと、お目当ての「コンスタンティン」はセキュリティーが厳しく、手荷物を全てチェックするとの張り紙が。
そこで2人、顔を見合わせてしまいました。
だって、鞄には今しがたセブンイレブンで買い込んだお菓子やらジュースやらがぱんぱんに詰まっていたのです。
「は、恥ずかしい」
踵を返して、他の上映作品を模索していたとき、ぽつんとひそかに貼られているこの作品のポスターが目に入りました。
やはり親子、感じる部分はおんなじだったようで、ポスターを見た瞬間
「これ、よさそうね」と意見が一致。早速チケットを購入しました。
泣けるって先に言ったらダメとさっき言ったのはこの私。
分かってますが、でも、でも、もうこの作品、涙と鼻水が止まらないんです〜。(言いたい)
エンドロールも流れ終わり、うっすらと明るくなった館内で隣を見た私は驚愕しました。
まだずるずると鼻をすする母の表情は、まるで”カメレオン”。
母が”カメレオン”へと変身する作品は他にもあるのですが、ここは
おうちではなく、映画館。
このまま外にでて買い物なんてしようものなら、「どうしたの、あの親子」と、後ろ指を指されるに決まっています。
カメレオンと赤鼻(私)です。
そそくさと映画館を後にして車に向かう私達親子なのでした。
と、長〜い逸話つきのこの映画、やっとここからご紹介させていただきます。
もう一度タイトルを申し上げますね。「海を飛ぶ夢」です。すみません。
これは、スペインの詩人の手記を映画化した作品で、数々の賞を受賞した名作です。
トム・クルーズがリメイク権を獲得して作成した「バニラ・スカイ」のオリジナル版、「オープン・ユア・アイズ」の監督をした、アレハンドロ・アメナーバルが本作品のメガホンを取っています。
ハリウッドでは、ニコール・キッドマン主演の「アザーズ」で名をしらしめた、若干33歳のスペインの若き名匠です。
四肢麻痺の障害を負った主人公ラモンを演じるのは、スペインではアントニオ・バンデラスと肩を並べる人気俳優、ハビエル・バルデム。
本作品を観るとその役作りの上手さに驚きますが、まだ36歳です。
そのラモンは、長い間家族に優しく介護され、穏やかに過ごしてきましたが、ある時「自分は何のために生きるのか」という疑問を抱きます。
そして、自分にとって最も尊厳のある”生き方”は、自らの手で”死を選ぶ”こと、ということを悟ったのでした。
魂の開放を求め、闘いを繰り広げるラモンですが、自らの手で自らの命を絶つということもできないという、新たな苦しみと直面するのです。
自分にとって世界につながっていたあの自由な海、その海での突然の事故によって奪われた自由・・・。
それは、彼の愛する家族の自由をも、長い間奪ってきたのです。
それぞれが、多大なる犠牲を払って。
周囲の人間が罪に問われない方法で逝くには?
正しい答えというものは誰にも言及できない、物凄く重いテーマにより、観客に生きることに自由があるなら、死ぬことにも自由があるというものを訴えかける作品です。
|